アジトを突き止めたルパン達は、すぐに行動へと移った
場所を突き止めるために費やした時間を取り戻すように、車を急がせるルパン


「奴らはを殺す事はない。それだけ、あの組織にとっての頭脳は必須だからだ」

「組織は何を作ろうとしてるんだ?」

「表向きは新薬、実際は人体ウィルスだ」


グン、とアクセルを踏み込む


「その薬を開発できたのは、過去にの両親が研究していた遺伝子学だったんだ」

「だが、の両親は死んじまった」

「ああ。だからこそ、その二の舞はもう踏まねえようにしてんだろ」

「しかし、は絶対にそんな事に加担しようなど思わないだろう」

「そうなりゃあ、昔と同じように力ずくでも言う事を聞かせようとすんだろうな」


景色がスピードと共に流れていく
締め切られた車内は、各々の思いで充満していた

ルパンは、あるホテルの前に車を停めると飛び降りた
それに続いて、五ェ門と次元が降り立つ


「いいか、アジトはこのホテルの厨房が入口だ」

「正面から入って平気なのか、ルパン?」

「ああ。俺達とが関わっている事は、組織の奴等に知られてないからな」


不意にルパンが五ェ門に振り向いた


「何があっても冷静でいろよ」

「……心得た」


そうして、三人は己の武器を手に握ると、ホテルへと乗り込んでいく



「ボス! 侵入者です!」



牢屋の外から、部下らしい人が男に向かって叫んでいる
男は私から離れると、大きく舌打ちをした
荒々しく牢屋の鍵をかけると、部下に怒鳴りつけた


「どうしてここの場所が分かったんですか?!」

「三日程前にハッキングをかけられまして……」

「組織のファイルをハッキング? それで、侵入者は!」

「はっ! それが、まだ正体は掴めていないのですが、男三人だそうです」

「一体何が目的で……とにかくその男達を始末しなさい!」


部下は敬礼をすると、そのまま走り去っていく
男は牢屋越しに、私に振り向くとにっこりと笑った


「用事ができてしまいました。また後でお会いしましょう」


カツカツと靴音が遠ざかる

息を一つ吐くと目を閉じる
できるだけ、暗闇を想像して


「男三人か……」


一瞬だけ過ぎった、五ェ門達の顔

その可能性はないと悟った時、ひどく悲しくなった

だって、私がおじいちゃんの所にいる事だって知らないのに
どうしてここが分かるっていうの?

警報が次第に大きくなる
ここにも侵入者が来るのだろうか
私には関係ないのだけれど


「だいぶ……疲れてるのかな……すごく、眠いや」


もう自分が瞼を開けているのか、閉じているのかが分からない程
視界は霞みぼやけて見えない

体の痛み、寒さ、そして疲労と睡魔

聞こえてきた足音にさえ、反応する事が出来なくなっていた





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