それから、ルパン達が彼の家に着いたのは数時間後の事だった

不二子に紫を頼み、三人で訪れる
道中、三人三様の思いが頭を駆け巡った


「確かこの辺りの裏路地なんだよなぁ」


ルパンが紙切れを凝視しながら、ブツブツと呟いた

街の中には、裏路地どころか店や家、アパートメントが所狭しとあり
探すのがそれなりに困難で

それでも根気よくしらみつぶしに探す事、三十分
ようやく、お目当ての裏路地に入った


「お! あれ、表札じゃねえか?」


ルパンが一枚の板切れを見て、そう言う
三人とも、目を凝らしその板に書かれた文字を読む


「ビンゴ!」


ルパンが意気揚々と早足になった
その後ろを、五ェ門、次元の順で歩く


「……まだ気にしてんのか?」

は、果たして一緒に戻ってきてくれるだろうか」

「そりゃ大丈夫だ」

「なぜそう思う?」

「お前らの縁は、切っても切れねえだろ。傍からみてりゃ分かるんだよ」


鬱陶しいくらいにな、と悪態をつく次元に
五ェ門は少しだけ笑った


「おい、止まれ」


急な静止の声に、思わず二人とも身構える
目の前には、胸の内から銃を取り出しているルパン


「どうしたというのだ」

「……扉が壊されてるんだよ」

「なに?」


ルパンが壁沿いに歩き、バッと中に向かって銃を構える
そしてすぐに銃を下ろし二人を手招いた

駆け寄った二人が見た物は、悲惨な光景だった


「おいじいさん! 一体どうしたんだ?」


ルパンが、扉から真正面にある壁でぐったりとしている老人を起こし、問う
老人は唸りながらも瞼を上げると、三人の男を見回した


「今日、は……無駄、な……客が、多い、な」

「ひでぇ傷だ……そうだ! ! はどこだ?」

「……お前達も、、を……?」

「当たり前だろ……俺達はを迎えに来たんだ」


その言葉に、ぐったりしていた老人が急に起き上がり
ルパンの胸倉を掴んだ

その力は、大怪我をしている老人が出しているとは、思えない程で


「お前達もっ! わしの孫を……奪うつもりだったのか……?!」

「奪う……?」

「もう……放っておいてやってくれ……あの子は、ずっと……辛いめに合ってきたんだ」


泣き崩れる老人に、なんの言葉もかけられない三人
他の部屋を覗いてみても、いるはずのの姿は見えない


「なあじいさん、俺達は何もを誘拐しに来たんじゃねえんだ」

「……お前ら一体、と?」

とはずっと一緒に暮らしてたんだ。あそこの、ほら、着物を着た男が裏路地から助けてきた時以来ずっとな」


ルパンが五ェ門の方に視線をやると、老人も同じように目を向けた
五ェ門は軽く会釈をすると、チェストの上にある写真立てに気がつく


「これは……の両親か?」

「ああ。優秀な、発明家だった……」

「知ってるさ、のことは全て。その発明家の両親の、遺伝子をまるまる引き継いだって事もな」

「なんだと!? ……しかし本人は知らなかったぞ?」

「言わない方がいいだろうって、ずっと黙ってたんだ」


懐から小さな写真を取り出す
そこには、ルパンに抱かれた小さな
周りを囲むように次元、五ェ門、不二子が映っていた


「お前達が……の言っていた?」


老人は目を丸くすると、ふうと溜息を吐いた


は……わしを庇って連れて行かれた……」





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