の祖父の所に、彼女がいると知った五ェ門は戸惑っていた

自分が、迎えに行ってもいいのか
まだ紫にさえ何も伝えていた今の状況で、本当に彼女を幸せにできるのか

そんな中、自室にいた次元がいつの間にリビングに移動していた


の居場所が分かったところで五ェ門、お前はどうするつもりなんだ」


がいなくなった日以来、一切五ェ門に対して口を開かなかった次元が
久しぶりにその口を開いた
五ェ門はその事と、声にこめられた彼の気持ちに驚く


「お主……もしやのことを」

「今はそんな事どうでもいい。五ェ門……いい加減腹を括れ」

「……しかし」

「婚約うんぬんよりも、テメェの気持ちだろうが!」


ルパンが慌てて止めるが、次元はそれよりも早く五ェ門の胸倉を掴んだ
その手には思わぬ程の力があった
五ェ門はその力と言葉に、何も言えなくなる


「お前は一体、誰のことを愛してんだ!?」


その言葉に、ようやく鈍くなった五ェ門の頭が動き出した

誰を、一番、愛しているか
そんな事は明確だった


「拙者が愛しているのは、ただ一人だ」


五ェ門の決心がついた言葉に、次元の力が鈍くなる
するりと離れた手が、次元の体の側面に落ち着いた


「お前がそう想ってるんなら、それを貫き通せ」


次元はそう言うと、椅子に座り煙草に火をつけた
ルパンがそっと五ェ門に近づく


を迎えに行くんだな?」

「ああ」

「……それが、たとえや紫ちゃんを傷つけてもか?」

「どちらも、傷つける覚悟……それでも拙者が求めるのは、一人だ」


光の戻った五ェ門の瞳に、真面目な表情のルパンが映る
それを確認したルパンは大きく笑うと、一枚の紙を出した

それは、の祖父である加藤昇の住居が書かれた紙


「そのふてぶてしさこそ、五ェ門だな」

「一言余計だ……」

「もちろん、俺達だって迎えに行くかんな?」

「その方が、も喜ぶだろう」


片頬だけ緩やかに歪ませて、五ェ門は笑った


「しかし、なんと言って連れ戻せば……」

「なあに、簡単な事だろ? 熱くハグして耳元で愛してるってささやけば万事OKだぜぇ?」





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