不二子が、ある場所に電話をかけ終えたのと同時に、の携帯が震える
買い物を終え、不二子の家に戻ってきた二人はソファに座りくつろいでいた


「もしもし」

か?」

「あれ、五ェ門? どうしたの?」

「少し用事ができて、日本に行く事になった。数日は戻らない」

「そっか。気をつけてね」

「ああ、心得た」


ぴ、とボタンを押し携帯をテーブルの上に置く
は出されたカップを持ち、紅茶を飲んだ
不二子が同じように、コーヒーを飲むのを見てはクスクスと笑う


「なあに?」

「んーなんか、こんなにのんびりしたのは久しぶりだなぁ、って」

「たまにはいいでしょ?」

「そうだね。あ、そう言えばさっき、誰と電話してたの?」

「日本の知り合いよ。ちょっと頼み事をね」


そっか、とだけ返すとは「今日の夕飯どうする?」と不二子に問う
彼女は美味しいレストランを見つけたから、そこにしましょうと微笑んだ
と、またもやの携帯が震え始める
今度の相手はルパンだった


「もしもし、ルパン?」

「おお、! 買い物は楽しめたか?」

「うん! たくさん買ったよ。ありがとう」

「いいって事よぉ」


それより、不二子に代わってもらえるか? とルパンが言う
は一瞬首を傾げたが、目の前にいる不二子に携帯を渡した
ルパンからだよ、とが告げる
不二子は携帯を受け取ると、にこやかに、そして素早く通話を終わらせた


「ルパン、なんだって?」

「銭形警部が追いついちゃったから、とうぶん私の所にを置いて欲しいって」

「え! 銭形警部が来ちゃったの?」

「そうみたいよぉ」


不二子はそう言いながら、ふぅと溜息を吐く
もちろん、銭形がルパン達を見つけた、と言うのはでまかせであり
本当はこの後、早速教会を手配し美術館に盗みに入るためだ

どうやら、ルパンと五ェ門も連絡が取れたようで
着々と結婚式の準備はとり進められていた



それから、一週間が経つ

その間に五ェ門はお目当ての物が手に入り、日本からフランスへと戻って来ていた
教会の手配も済み、鐘も無事美術館から盗み出せた

そして、不二子の手にはある一枚の紙切れが握られている


「それじゃあ、またね! 不二子姉さん」

「ええ、いつでも連絡して。からだったら、すぐに受け取るわ」

「うん」


ルパンの新しいアジトの前で、は車で去っていく不二子に手を振っていた
このアジトは教会から近く、なおかつ銭形に追われた、と言う理由にリアリティを持たせるものでもあった

が振り返ると、そこには平屋の小さな一軒家
「今度のアジトは可愛いなぁ」と呟きながら、荷物を持ち直し扉を叩く


「おお! おかえりぃ、!」

「ただいま」


出迎えたのはルパン
彼はの荷物を当たり前のように受け取ると、奥へと進む
はキョロキョロと辺りを見回すと「五ェ門と大介は?」とルパンに聞いた


「奥のリビングにいるぜ」


それを聞くとは顔を綻ばせ、奥へと小走りで向かう
扉を開け、目に入ったのは椅子に座る次元
そして横を向けば、相変わらず瞑想をしているのだろう、瞼を下ろした五ェ門がいた


「ただいま!」


とびっきりの笑顔でそう言うに、二人は笑い
そして「おかえり」の一言を告げる





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