ふわふわの感覚に包まれたまま、目を覚ます
太陽の光ではない、別の光に目が痛んだ

ぼやっとした風景が、だんだんとはっきりしていく


「……こ、こは?」


目がその風景に慣れた瞬間、人が急に現れた


「お! 目開けたぜ!!」


黒い短い髪の男の人。さっきまでの事は夢だったのかな
と、思ったら少しだけ見覚えのある、着物を着た人を見つけた


「ご、えもんさん……」


私が、名前を呼んだらすごく驚いた顔をして
すぐに優しい顔で、私の近くに来てくれた


「ありがとう、ございます……」

「何がだ?」

「助けて、くれて……」



一瞬、戸惑った顔になって
私は、嫌な事を言ったのかと、不安になった



「――……何を勘違いしているのか、お前を助けたのはここにはいない「不二子」という女だ」

「え……?」



後ろにいる二人の人が、驚いた顔をしている
それでも五ェ門さんは、少しだけ笑いながら
きっと、何かを勘違いされたのだろう、と私の頭を撫でた

思い違いなのかな

でも、そうなのかもしれない
だって、誰かに抱き上げられた記憶まではあるけど
そこから私は、なにも覚えていないから


「間違えちゃって、ごめんなさい」

「いや……気にしなくて大丈夫だ」

「なあに、二人でいい雰囲気出してるんだよ」


にゅ、とさっきの髪の短い男の人が五ェ門さんの間から顔を出した



「俺はルパン三世ってんだ。お嬢ちゃん、名前はなんてーの?」

「名前…は、って言います」

ねぇ…」



お父さんと、お母さんは? と聞かれ
思い出したのはあの箱の中と同じ物


「分かんない、です」

「分かんない?」

「思い出せるのは、眩しい、光だけ……」


光と痛みと、寒さ
そこでやっと私は、死ぬ事の怖さを感じた



「死ぬのは……怖い! 死にたく、ないよぉ……!!」



体の痛みがリアルになってくる
がたがたと震える腕を、押さえられない
涙が後から後から、流れ出す

咄嗟に、近くにいた五ェ門さんの腕を掴んだ
五ェ門さんは優しく頭を撫でてくれて、大丈夫だって何回も言ってくれた

そうしていたら、少しずつ眠くなってきて
気づいたら私は、また眠りの世界に落ちていた









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