それからは瞬く間に色々な情報、学習をした
興味を示すのは、大抵化学だったが、ルパン達がお土産にと買ってきた本から
様々な知識を会得していく

その知識を活かしながら、ルパンが使う道具を発明したり
時にはパソコン片手に、一緒に盗みに入り脱出ルートなどを提示したりと
もうルパン達の立派な「助手」となっていた


がルパン達のもとにやってきたのは、春だった
それから時が経ち、夏から秋、秋から冬と
盗みを繰り返しては、様々な国へと飛び立つ
にとっては冒険のように、キラキラと輝く日々を過ごしていた



一年、二年と年数を重ねる度に
はひとつ、またひとつと成長していく




それは、不二子とがカフェで女同士のお喋りをしている時
専ら不二子の買い物に、がついて行った帰りの、恒例の事



「そう言えば、がルパン達の所にいるようになって十年近くになるのよね?」

「うん。また誕生日を兼ねたパーティー開いてくれるんだって」



知ってるわ、と不二子が煙草を消しながら言う
は自分のカフェオレをちびちびと飲んでいて
そんな彼女に不二子は、ふと疑問に思った事を聞いた



は、恋愛とかしないの?」

「へ?」

「だって、だってもう年頃でしょ? 私達と出会った時はもっと幼くて見えたけど…」



たった数年で、は誰しもが振り返るような年頃になって
んー、と唸りながら首を捻る
カフェの横を通る男性は、必ず一度は振り返っていく


「そう言われても、まず出会いがないし……第一五ェ門達が許してくれないよ」


苦笑いをしながら、は通りかかったウェイターにお代わりを頼む


「じゃあ、出会いがあったらも恋したりするの?」

「うーん……どうだろ、一番理想な人が傍にいるから、しないかも」

「理想の人!?」


不二子が驚きの声をあげた
は、その不二子の声に些か驚いたようで
胸の辺りを押さえながら、不二子を凝視する



「一体誰? あの中で理想なんているの?」

「うん」



五ェ門だよ? 私の理想の人、と告げる



「ご、五ェ門……?」

「うん。え、誰だと思った?」



ケラケラと笑うを見て、不二子は肩の力が抜けたのを感じた



「あんな昔気質の侍、どこがいいわけ?」

「んー? なんだろ、分かんないなー。でも、理想って言われたら、真っ先に五ェ門が思い浮かぶんだもん」

「じゃあ、五ェ門のことが好きなの? は」


「えー、ないないって! 五ェ門、アレでいて惚れっぽいし、優し過ぎるから色んな女の人に騙されてるし」

「それで、よく理想だなんて言えるわね……」



その言葉にがふと、五ェ門のことを思い出す

何かある度に、女の人に騙されては、他の二人に怒られているところ
結局その後始末に、自分が駆り出されている事
「すまぬ……かたじけない」と言いながら、帰り道に自分の手を引いてくれる優しい背中


「皆優しいけど、特別五ェ門が優しいし、なんてったって真面目だしね!」



冗談めかしながらそう言うに、不二子も笑わざるを得なかった










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