綿飴のベッドにぼすんと落とされて
ふわふわの綿が私を受け止める
ぎしりとスプリングが軋んで、トリコの重みの分だけ沈む
上体を起こしている私に、覆い被さるようにしている彼
その目が見た事のない色をしていて、心臓が高鳴った

怖いような、不安のような
それでいてどこか甘く痺れるような気持ちが、心を支配する

トリコの顔が近づいてきて、思わず目を閉じた
すんすん、と何かを嗅ぐような音がして片目だけ開けて様子を窺うと
青い髪がゆらゆらと揺れていた

「昔っから思ってたけどよ、お前ってホントいい匂いすんな」

「そうかな……」

鼻息がくすぐったい
固そうな青い髪に指を通すと、くしゃりと絡む
意外にもそれは柔らかさがあった
なんだか夢中で、もしゃもしゃとしてしまう

「何してんだよ」

「や、意外にも触り心地がよくて」

「こら」

腕を掴まれて、それから真正面に顔が来る
真剣な、男の眼差しだ

「今更後戻りできねぇぞ」

「う……」

「まあもう我慢できねえけどな」

そう言って、口づけられる
触れるだけの優しいものが、突如舌を唇を割ってきた
驚いて反射的に口を開いてしまえば、トリコの舌が侵入してくる
そっと背中に手を回され、ゆっくりと押し倒された
その間も舌の動きは止まらない

「ん……う、ん……」

顔の角度を変えて、その舌を享受する
まるで味わうかのように、口内を動き回る舌に酸欠になりそうだ
苦しくなって彼の胸を叩けば、名残惜しそうに離れていく

「甘いな」

「え、な、何が?」

「お前の口ん中」

ニッと笑って、それから首筋に口づけられる
くすぐったいような、そうでないような感覚

「ふっ、ん……」

ペロリと舐め上げられて、声があがる
トリコが小さく「あま……」と呟くのが耳に入った
なんだかそれがすごく恥ずかしい事のように思えて、耳が熱くなるのを感じる

シャツの裾から、トリコの大きな手が入ってくる
手はまっすぐと胸に辿り着いて、絶妙な力加減で触れてきた
下着の上から、探るように触れてくる
それがもどかしくて、でも自分ではどうする事もできない
するとトリコがそれに気づいたかの如く、ブラジャーをたくし上げられた

「んっ……」

「柔らけーな」

堪能するように、両手で揉みしだかれる
主張し始めたそこを両方とも摘ままれて、思わず首筋を曝け出してしまう
ここぞとばかりに、彼が曝け出した首元に噛みついてきて

「ふあ、ん!」

蜜を吸うように、首筋を吸い上げられる
シャツを捲し上げられ、首筋から舌がなぞるように胸へと降りていく
赤い頂を、トリコが口内に含むと脳に痺れるような電撃が走った
ざらつく舌が、起ち上がったそれを転がす
自分のものじゃないみたいな声が嫌で、腕で口を覆う

「声、聞かせろよ」

「やあ……ん、あ……ぁ」

スカートが肌蹴て、太ももを手が行き来する
それが下腹部をなぞると、下着の中へと
熱い指先が、秘所に触れる

「ま、待って……そこ、は……」

「なんだ、どうした?」

「そそそその、私、こういうの、初めてで……」

トリコがきょとんとした顔になる
それから殊更嬉しそうな表情へと変わっていく

「大丈夫、オレもだ」

「そ、そっか……って、ええええっ」

「なに驚いてんだよ」

「いや、その割には慣れた手つきというか、その」

「そりゃあ今まで頭ん中で色々シテたからなぁ」

一体何を、と聞こうとして、その声は違う色になる
粘つくような水音がして、何も侵入した事のないそこに、トリコの指が入った
思わず、ぎゅっと腕にしがみついてしまう

「ん、はっ……あ、いぁ、ん!」

「どこが気持ちいいんだ?」

バラバラと動く指に、意識が全て持っていかれる
どこが、と聞かれるけど、そんな事を考える余裕はない
動き、擦れる度に声があがる

「やあ、なんか、へんっ……!」

おでこに優しいキスが降ってくる
と、同時に指の出し入れが激しくなって
快感の波が、一気に押し寄せてきた
その波が全てを呑み尽くす前に、指が引き抜かれる

「ひぁっ……」

喪失感、その次にそこに宛がわれたモノに腰が揺れた

「いいか……?」

上目遣いでそう聞かれて、答える代りに首を縦に振る
どうなるかなんて分からなかったけど、火照った体は次を求めていた

ぐ、と異物が押し入ってくる
指とは違う、快感というより最早痛みだった

「い、ったい……や、むり、はい、んない……!」

「力抜け……っ」

腰を掴まれて、進もうとするトリコのそれを、私の中が押し返そうとする
さっきまでは次を、なんて思っていたけれど
今はただ、この痛みをどうにかして欲しかった

「ん! は、ん……」

「もう、少しっ……」

腰と腰が重なる。奥で何かが収まる感触に背筋が震えた

「動くぞ」

「や、まだ、だめぇ……!」

浅く動くそれが、だんだんと滑りがよくなり、擦れる度に徐々に快感を生んでいく
気づけば痛みは消え、ただ貪欲に欲しがるだけだった

「んっんっ、あ、あぁん! あ、あっ! ひぅん!」

快感の波、頭が真っ白になる
中にあるモノが一際大きくなって、どくりと脈打った

引き抜かれると、びくりと腰が跳ねた
トリコの顔が下りてきて、キスをされる

「ん……」

「やべえ、オレ、今すっげえ幸せだ」

そう言う彼の目尻には涙が浮かんでいた
なんだかそれを見ていた私の目にまで、膜が這っていく
幸福感と心地のいい気怠さに身を任せて、瞼を下した





















起きたら、どんな顔をすればいいんだろうか