男の人が欲情するように、女だってムラムラする事がある。
特に、好きな人が無防備に肌を晒していたら、男女共通ですると思う。
だから、私は悪くない。



そろり、そろりと足を運ぶ。
真夜中、屯所にいる全員が寝静まった頃、私は行動に出た。
上司でもあって、恋人でもある近藤さんの自室に向かう。

別に、これといって用事があったわけじゃない。
ただ、最近きちんと顔を見ていないな、と思って。
寝顔だけでも見て、自分も就寝しようと思っていた。

近藤さんの部屋の前に着いて、そーっと障子を開ける。
豪快ないびきが、耳に入る。そんな事にクスリと笑いが零れた。
そっと、部屋に入って障子を閉める。それから、布団に近づいて。

たまに一緒の布団で寝る事があるから知っていたけど、この人は疲れている時程寝相が悪い。
今日も掛け布団はかかっていないし、着物もほとんど意味を成していない。
しょうがないな、なんて思いながら掛け布団を掴んだけれど、そこで手が止まってしまった。

肌蹴た胸元には鍛えられた胸筋が見える。それから、胸の飾りも。
下に目をやれば割れた腹筋。お情け程度に巻かれた腰紐。
完全に見えているトランクスは新しい物なのか、私が見た事のない柄だった。
色気とは程遠い恰好だったけれど、私にとっては据え膳みたいなもので。

ごくり、と。生唾を呑み込んだ。

いつも、この逞しい腕で胸の中に閉じ込めれられて、それからキスされて。
唇を割られて、舌と舌を絡ませて。首筋に唾液が伝う。
それを舐め取られて、それから。

回想は止まる事を知らない。頭の中で繰り広げられる、私と近藤さんの情事。
鮮明に思い出してしまうのは、本人が目の前にいるからだろうか。

掛け布団を掴んでいた手を離して、静かに彼の足もとに座った。
そっと、彼の太ももに手を乗せる。一瞬、体が動いたけれど、すぐにまたいびきが聞こえてきた。

いつもは、しない事。というか、近藤さんがしなくていいから、と遠慮している事。
私だって、彼に悦んでもらいたい。そう思うのに、近藤さんは私を想ってか、しなくていいよ、と言ってくれる。
ゆっくりと、トランクスに手をかける。少しずつ慎重にずらして、膝元にまで下げる。
まだ起ち上がっていない状態の彼自身が、顔を出す。
心臓がどくどくとうるさくなった。

そっと、根元を両手で包み込みこんで、起ち上がらせる。
先端に口づけて、いよいよ口を開ける。
まだ大きくなっていないそれの先端は、容易に口内に入った。

舌先で、割れ目を優しくなぞったり、吸ってみる。
何が気持ちいいかなんて分からないから、とりあえず優しくする事は心がける。
段差の部分に舌を這わせて、ぐるりと回し舐める。


「……っん」


近藤さんの、鼻にかかったような声が聞こえて。
ちらりと上に目線を向けて顔を見るけれど、まだ眠っているようだ。

むくむくと、手の中の近藤さん自身が大きく膨らんでくる。
意識はないけれど、それでも反応してくれる事が嬉しくて。
片手を、ゆるりと上下に扱く。もう片方の手は、袋をやわやわと揉む。
舌先を出して、真ん中の筋を下から上に舐め上げる。


「んっ……う、あ……ぅん……あ、れ…………?」


ついに近藤さんが目を覚ましてしまった。
私は彼自身を咥えたまま、彼の目を見る。
まだ状態を把握できていないのか、ついでに寝ぼけている上に快楽を与えられているせいか、どうやら頭がはっきりしていないらしい。
それをいい事に、私は行為を続ける。


「……ちょ、ま、あ……!」


彼のいい所に舌が触れたのか、声が高くなり、喉を反らす。
しめた、と言わんばかりに私は執拗にそこを舌先で刺激する。
彼が上半身を起こして、私の肩に触れるけれど、力が入っていなくて。
根元がびくびくと、痙攣している。


「ほん、と……だめ、だって……! 出、ちまう……っ」


その言葉を聞いて、私はさらに舌先で色々な所を刺激する。
扱く力を少し入れて動きを早くする。先端を咥えたまま、ぐるぐると舌を這わす。
すると、扱いていた部分がびくりと一瞬太くなり、口の中が生温い液体でいっぱいになった。
味わった事のないその味に驚きつつ、思わず飲み下してしまう。


「ちょちょちょ、待って待って! 、今の吐き出して!」


近藤さんが慌てて、情けない恰好のままティッシュを持ってくる。


「……飲んじゃった」

「えええええええェェェ」


暗がりでも分かるくらい、近藤さんの顔は真っ赤だった。


「……なんで、急に、こんな事……」

「んー……寝てる近藤さん見てたら、ムラムラしちゃって?」

「え……」


ごめんね、と謝ると、うぅむ、その、えーっと、と言葉を濁す近藤さん。


「どうしたの?」

「その……こういう事、、初めて?」

「え、うん」

「……上手、でした」


苦笑いされながら、よしよしと頭を撫でられる。
嬉しいような、なんだか複雑な気分になる。


「言っておくけど、他の人になんかした事ないからね!」

「そ、それは分かってるぞ! なんたって、の初めてを貰ったのは俺だからな!」

「それは言わんでいい!」


今度は私が赤面する番だった。
そっと、頬を包まれて、口づけられる。
舌で唇を割られ、舌と舌を絡ませる。


「……変な味」

「これが近藤さんの味だよ」


雰囲気台無しだな、なんて笑いながら、ゆっくりと押し倒された。





骨抜き注意報





Title by BLUE TEARS