銀ちゃん銀ちゃん、と後ろを歩くコイツが、嫌じゃなくなったのはいつからだったろう
俺と一緒に甘い物をがっつく姿が、柄にもなく可愛いと思ってしまったのはいつだっけ

ガサツで、いっつも髪はボサボサ。まあたまに整えてると、これまたギャップってやつで可愛く見えてしまう
着物の事も無頓着で、おさがりだったりセール品やらで揃えてる
でもそれが何気なくいいデザインで、それを着こなしてるから様になってやがる
化粧っ気のない肌は、つるりとしていて触り心地がいい


そんな事、本人に向かって言える筈がない


今日も今日とて、俺の所に遊びに来て勝手に色々やっている
俺は愛読書片手に昼寝をしていた


「ねえねえ銀ちゃん」

「んがっ」

「ねえってば、銀ちゃん!」

「んあー……なんだよ」


顔の上からジャンプをどかし、足元に蹲るを見た
にこっと俺を見上げるの鼻の頭には、銀色の絵の具。ガキみてえ


「こんなん作ってみました」

「んー? ってこれ、なんだ?」

「んふふー、聞いて驚け! 銀ちゃん人形だよ!」


の手の中で起立している人物、もとい俺は
どう見ても俺には似てない。とんでもなく美化されている、しかもハイクオリティで


「おまっ、よくこんなん作れたな!」

「でしょ? 褒めて褒めてー」

「おーおー、よく出来てるなーすげーなー」

「ふふ、銀ちゃんありがとう! 大好き!」


そう言って俺に抱き着く。落ちないように少しだけ支えてやるが、抱き返す事はしない

はいつだって真っ直ぐだ。ストレートに感情を伝えてくる
俺はそれに甘えてるのかもしれない。それに、こんな俺をは好きだと言っている
だから、このままでいいんだ









素直になれなんて馬鹿げてる
(第一俺が恥ずかしいんだよ!)










title by 強がってばかりの私5題 (確かに恋だった)