温いベッドの中で、うとうとする。
横には愛しい人。今日は仕事も休みで、一日こうしていられる。
私を抱えるように回された腕の強さが、嬉しい。


ー、今日どっか行かへんの?」

「真島さんは行きたい所、ありますか?」

「んー……ないなぁ」

「それなら、ずっとこうしてるのはどうですか?」

「だらしないなあ自分」


そう言いながらも、腕の力は強くなる。
触れる素肌がくすぐったい。私が体を捩ると「なんやねん」と顔を覗き込まれた。


「ちょっとくすぐったいなって」

「なんや、もっとくすぐったくさせたるで」


そう言って抱えていた腕を放して、脇をくすぐってくる。
強いくすぐったさに、笑いながら逃げようとするけれど、どこまでも追いかけてくる。
何が楽しいのか分からないけれど、とても嬉しそうな顔をした真島さんがいた。
くすぐりの手は、当分緩められなかった。


「やあっ……ほんと、もう、無理、です……」

「なんや、堪え性のないやっちゃな」

「そういう真島さんに仕返し!」


彼に覆い被さって、逞しい胸筋を過ぎて脇をくすぐる。
私のくすぐりが下手なのか、それとも彼に耐性があるのかぴくりとも動かない。


「全然くすぐったないで」

「ええー、ずるい!」

「ひひっ」


意地悪な笑みを浮かべて、上に被さる私の脇をまたくすぐる。
形勢逆転、真島さんが馬乗りになった。
部屋に響くのは、私の悲痛な笑い声と真島さんの意地悪な笑い声。
ひとしきり笑った後、そのまま抱きしめられた。


「真島さん?」

「……ほんま、ええ顔で笑うなぁは」

「……ありがとうございます」


頬に唇が触れて、それから唇を塞がれた。


「あかん、シたくなってもた」

「ええ」

「嫌なん?」

「……嫌じゃ、ないですけど」

「ならええやん」


そう言って、裸同然の私の、残り少ない衣服をはぎ取っていく。
素肌に落とされるキスは、やっぱりくすぐったかったけど、そのくすぐったさが心地よかった。
のばされた真島さんの足に、自分の足を絡めた。










重なり合う