窓の外を眺めていたら、空からチラチラと雪が降ってきた。
迎えに行った方がいいだろうか、と思ったその時、玄関の扉が開く音がした。
「うーさむさむ、今帰ったでー」
「おかえりなさい」
寒い、と言う割には、防寒をしない真島さん。
玄関に行けば、鼻の頭を赤くした彼がいた。
「今日もお疲れ様です」
「おう。今日はなー、土産があんねん」
「お土産?」
ほい、と渡されたのは可愛くラッピングされた小さな箱。
「開けてもいいですか?」と聞けば「ええで」と頷かれる。
二人でリビングに入って、私はそこでラッピングを剥がした。
中から出てきたのは、透明なケースに入ったクリスマスツリーで
そう言えば、もうすぐクリスマスだった事を思い出す。
「わあ、可愛い」
「せやろ? 絶対が喜ぶと思ったん」
無邪気な笑顔で鼻の下を掻く真島さんに、お礼を言う。
「ありがとうございます」
「ええって。俺が喜ぶ顔見たかっただけや」
「ふふ、どこに飾ろうかな」
いつでも目に入る所がいい、そう思ってテーブルの上に置いてみた。
テーブルの大きさに、あつらえたみたいにピッタリだった。
「ここ! どうですか?」
「ええやん。来年は、もっと大きいの買ったるな」
「来年……」
あまりにも当たり前のようにそう言うから、一瞬呆けてしまう。
来年も隣にいていいんだと、そう思ってもいいんだろうか。
「なんや? 来年まで待てへんか?」
「ううん、そうじゃなくて……来年も、一緒にいてくれるんだなって思って……」
きょとんとした表情の後、近づいて抱き締められる。
外の寒さがまだ体に残っていて、触れる素肌が冷たかった。
「来年も、その先もずっと一緒や」
「うん」
髪を梳く優しい指先に、少し涙が滲んだ。
あなたが買ってきた小さなツリー
Title by Fortune Fate「ふたりの聖夜に5題」