サンジがいるだけで、心の奥がほんわか温かくなるのを感じる。
何をされたって、何が起きたって、いつだって笑っていられる気がする。
サンジがいれば何にだって誰にだって優しくいられるんだ。

何にもないんだけど、時々悲しかったりちょっと落ち込んでいる時
サンジはそっと隣で、ぞの時間を共有してくれる。
煙草を吸って、手を握ってくれて、肩を抱き寄せてくれる。
それだけで、いつの間にか元気になっていて。

頑張って、サンジの手伝いをしていると、オッチョコチョイなせいかはよく転ぶし、物を落としちゃう。
たくさん、サンジに迷惑をかけているのに、サンジは「ちゃんが手伝ってくれるだけで嬉しい」って
そう言ってくれる。


「ねえサンジは私といて、幸せ?」

「へ?」


おやつの時間が終わって、ラウンジで相変わらず後片付けに奮闘しているサンジの後ろ姿にそう声をかける。
サンジの横顔は前髪に隠れていて、よく分からない。


「私は、サンジがいるだけで優しくなれるし、元気にだってなれるの」

「……へえ」

「なんか、すごい幸せだなぁって思う」

「ありがとうございます。プリンセス」

「でも、私はサンジに何もしてあげられてない」


サンジは私にたくさんのものをくれるけど、私は何一つお返しができていない。
手伝いをしたって、結局サンジの仕事を増やしちゃうだけだし
サンジが落ち込んでるところを見た事がないし、いつだって私がサンジに支えてられている。


「幸せだよ」


いつの間にか後片付けを終わらせたサンジが、目の前に跪く。
片手を私の頬にあてて、もう片方で手を握ってくれる。
水にあたっていた手は少しだけひんやりしていて、今日みたいな暖かい日にはとても気持ちいい。
金髪から覗く青い瞳が、優しく揺れているの見ると、やっぱり幸せになって。


「おれは、ちゃんが笑ってくれてれば幸せだよ」

「……私が笑うだけで?」

「うん。だから落ち込んでる時はずっと隣にいてあげる。手伝いだって、ちゃんが隣で笑いながらやってくれるから、いつもより捗るんだ」


ほんの少しだけ照れたように、サンジはへらっと笑う。
なんだか幸せな気持ちと、泣きたい気持ちが重なって、目の端には涙が溜まる。


「泣かないで? ちゃんは笑ってる顔が一番可愛いんだから」

「サンジは……いつもそればっかりだね」

「そう? でも、どんな顔でもちゃんは可愛いけどね」


ぎゅう、と抱き締めれば、ほらやっぱりそこから幸せが溢れ出す。
君が隣にいてくれる日々全てが、私にとっての幸せな日。











Image song「Happy Days」by 大塚愛