五ェ門は、ずるりと自身を中から引き出す
溢れた混液の中には、赤が混じっていた


「……どこか、痛む所はあるか?」


呼吸を整え、五ェ門は今だ肩で息をしているに問いかける
は薄目で五ェ門を見ると、ふるふると首を横に振った
そして小さく「疲れた……」とだけ呟く


「このまま眠りたいのは分かるが……その」

「うん……?」

「後片付けを、しなくては……」


今回が初めてだったにとって、五ェ門が何を言いたいのかさっぱり分かっていなかった
ただ今はもう眠ってしまいたい。その思いでいっぱいだった


「後片付けって……何するの?」

「その……寝具、などを替えないと気持ち悪いだろう?」


徐々に、疲れた脳が状況を把握する力が戻ってくる
はまず自分の状態を思い浮かべた


「つっ!」


慌てて起き上がると彼女は、手元にあったシーツで自分の体を覆い隠した
そして目の前で自分と同じ格好をしている五ェ門を見て、頬を赤くしてすぐに俯く


「……っ見た……?」


涙目でそう言いながら自分を見上げるに、五ェ門が唸る
まず、つい先程までそういった行為をしていたにも関わらず、そんな事を言ってしまう事
そしてその行為がどれだけ、まだ余力の残る五ェ門にとって毒なのか
分かっていないでやっているからこそ、性質が悪い

窓の外を見ると、まだ夜半の頃だろう
五ェ門は「見てはいない」とだけに告げた
すると、ホッとしたように肩を下ろした

ふと、を見ると何やら黙って考え事をしている
「どうしたのだ?」と五ェ門が問いかけると、顔を上げた
表情は少し泣きそうだった


「え、いや……その」

「はっきり言わないと分からないのだが」

「……五ェ門」

「なんだ」

「私、初めてだったんだけど……どうだった?」


その言葉に、愕然とした

にとって自分が初めてだなんて事は、重々承知していた
だからこそ、まさか感想を求められるなんて、これっぽっちも考えていなかったのだ


「……言わなくてはならないのか?」

「ううん、言いにくかったら、いいんだ……」


そう遠慮がちに笑うの瞳から、ポロリと涙が落ちたのを見て
五ェ門は慌てる


「な、何故泣く?!」

「だ、だって……もし相性とか悪くて、呆れられたらどうしようって……! 初めては痛いだけだって聞いてたけど、私はそんな事なかったし!」

「……痛いだけでは、なかったのか?」

「うん、なんかずっと恥かしかったし痛い時もあったけど、気持ちよかったよ?」


首を傾げて、五ェ門は? と問いかける
また五ェ門の中の雄が反応を示す

そしてもまた、自分がかなりの重大発言をしてしまった事に気づいていない
俯き加減のにそっと五ェ門が近づき、その頬に触れた
触れた手がその顔を上げさせる


「五ェ門?」

「本当は一度だけにしてやりたかったのだが……今のはお主が悪い」

「へ?」

「夜はまだ長い。それに、いざとなればもう一泊すれば済む話だ」

「……それって」


シーツを剥ぎ取られ、激しいキスをされ動転したのはだけ
また真っ白な海へと埋もれる二人の声と、音だけが部屋に一晩中響いた



翌朝、ルパンの下に一本の電話が入る



「五ェ門か?」

「……ああ」

「どうした?」

「ホテルにもう一泊してくるってよ」

「はぁ?」



あーあ、当分の飯は抜きかぁ、とルパンが腕を頭の後ろで組みながら
新しいアジトで一人ごちた