アジトでひとりきり、ルパン達の帰りを待つ
そんな彼女の耳に、物々しい音が届く。それはまるで、獣の咆哮にも似たような音で。
それなりに鍛えているといっても、所詮女性である彼女は、咄嗟に自分の銃を握った。
がたがたと玄関の扉が揺れて、そこから現れたのは、彼女の意中の人物だった。


「……五ェ門?」

「……っ殿か」


間が空き、語尾が上がったのは、その姿がの知る五ェ門とは程遠かったからで。
普段の、寡黙でそれでもどこか優しさを滲ませている姿と、見た目こそは同じでも、今彼女の目の前にいる五ェ門は似ても似つかなかった。

獣の咆哮、とは言ったもので、そこにいるのはまさに手負いの獣。
瞳は瞳孔が開き、ギラギラと炎を灯している。少し離れていても血の匂いが漂ってくる。
歯を食いしばっているが、隙間からは荒い息が漏れている。髪は乱れ、見える肌は汗で光っていた。

いつもの、五ェ門じゃない
このままここにいたら

そうが危険を察知したのを、まるで読み取ったかのように、五ェ門が距離を詰める。
を壁際に追い詰め、逃げられないようにと、その両腕で囲ってしまう。
からん、と斬鉄剣が床に落ちる音が、彼女の耳にやけに響いた。


「……何故、逃げようとするのだ……?」


身長差があるせいか、見下ろす形でを見つめ、そう吐き出す五ェ門。
見上げるの頬に、彼の汗で薄まった血がぽたりと落ちる。


「ご、五ェ門……なんか、変、だよ?」

「変、とは?」

「……怖い、よ」


が目を逸らしながら、呟く。
すると五ェ門の目が見開かれ、片手で彼女の頬を掴んだ。


「拙者が、怖いか?」

「いっ……! ごえ、もんっ……!」

「答えてくれ、殿」


ぎりぎりと力を込められる度に、痛む頬。
なんとか目を開けて、五ェ門の瞳を見れば、そこには様々な感情が浮かんでいた。
何よりも感じ取れたのが、欲情、それだった。


「答えられぬか……」


失望したような声が聞こえて、は必死に首を横に振る。
それを見て、一瞬だけだが五ェ門の瞳が揺れた。だがしかし、すぐにその色は変わり、情欲の炎に支配される。


「今夜の敵は少し手強かった。久しぶりの好敵手であった……故に、昂ぶっているのだ」


それとこの状況、何が一致するのか、と問おうとした瞬間、五ェ門の唇がの唇を塞いだ。
乱暴に口を割られ、別の生き物のように舌が蠢く。急な出来事に、ただ翻弄されるだけで。
掴まれていた頬は、いつの間にか顎を固定するように移動していて。
上を向かされた状態で、激しい波のような接吻をただひたすら受け止めていた。
どれくらいそうしていたか分からないが、ようやくのそれから五ェ門の唇が離れていく。
彼女がホッとした刹那、来ていたTシャツを無残にも裂かれる。
まるで前開きのシャツのようになってしまったそれ。顕わになったブラジャーを、五ェ門はためらいもなくたくし上げる。
五ェ門は屈み、両手でそれを揉みしだきながら、右の頂に噛みつく。


「っいた! ちょ、やだ……! ごえ、もん!」


咄嗟の出来事に抵抗するも、どうやっているのか分からない程、体が動かない。おそらく、体全体に力を込められて、押さえつけられているのだろう。
噛みつかれたそこは、最初は痛みだけだったのも、次第に恐ろしい程の快感に変わっていく。
舐められ、時折噛まれ、そして転がされる。
涙で滲んでいる視界で、今度は五ェ門を見下ろす。
視線に気がついたのか、ちらりと彼がの視線に己の視線を絡ませる。
その目は明らかに挑発的であり、扇情的で。
の腰が、ずくんと重く疼いた。


「ふっ……んあ!」


胸から離れて行った右手が、無遠慮に彼女の太ももを撫で回す。
胸の頂から離れた唇は、再び彼女のそれを塞ぐ。
太ももから、付け根、そして下着の上から秘所をなぞられる。
そして何度か行き来すると、そのままずるりと下着が下ろされた。

さすがにこれ以上は、とが五ェ門の胸を叩く。
もうすぐすれば、きっとルパンと次元が帰ってくるだろう。
いくら知った仲だからといって、こんな場面を見られるのは、果てしなく困る。
何より、意中の人である五ェ門と、こんな風に繋がっても、嬉しくない。
そんな想いとは裏腹に、の秘所は水音を立てながら、すんなりと五ェ門の指を咥え込んだ。


「ふあっ」


顔を離し、五ェ門がまじまじとの顔を見る。


「感じているのか……拙者に、このように乱暴にされて?」

「んっ! やあ……っ!」

「淫乱なのだな、殿は」


ずどん、と鉛を心臓に撃ち込まれた感覚だった。
ぼろぼろとの瞳から涙が落ち、それに五ェ門がぎょっとする。
秘所に入れられていた指が抜かれ、先程まで獰猛だった彼は途端に普段の彼に戻り、オロオロとし始めた。


殿……すまない、拙者、どうにかしてたでござる……」

「怪我して……っ、ナーバスになってたのは、分かるけどっ……いくらなんでも、ひどいよ……!」

「本当に、すまなかった……」


そう言われ、彼女は俯く。
すると、起ち上がってしまっている五ェ門自身が、目に入ってしまう。
の胸中で、複雑な思いが絡み合った。


「……こんな事、誰にでもするの?」

「そのような事はっ……!」

「え……?」


しまった、という表情を浮かべる五ェ門。
の涙を見た事による動揺に、さらに上塗りにして慌てだす。
腹を決めたという顔つきになり、五ェ門が呟く。


「いくら気が立っていても、拙者がこのような事をするのは、殿だけでござる」


それは事実上、想いを告げられたのと同じで。
は思わず、その首に抱き着いた。


殿?!」

「私も……五ェ門が好き」

「なんと……」

「部屋で、続き……しよっか?」


その言葉に無言のまま、五ェ門はを抱き上げ、自室へと入っていく。
中には薄い布団が一枚、綺麗に敷かれていた。
五ェ門はそこにを下ろすと、彼女に覆い被さる。

そっと、壊れ物に触れるように口づける。
啄むようにの唇を、五ェ門は食む。
開いた瞬間、中に舌が入り蠢く。
先程よりもうんと柔らかな接吻に、否応なしにの熱が昂ぶっていく。

飲みきれなかった唾液が、の首筋を伝っていく。
それを舐めるように、首筋に舌を這わす。
やわやわと形を確かめるように、乳房を揉みしだいた。


「んっ……」


そっと、片手で胸の頂を捏ね繰り回し、もう片方の手は太ももから秘所へと昇っていく。
しとどに濡れそぼったそこは、容易に五ェ門の指を飲み込んだ。
二本の指をばらばらに動かせば、それだけで彼女は達してしまいそうになる。
それ程までに、敏感になっていた。


「んあっ……! や、五ェ門……!」

殿……すまない、拙者もう……」


切羽詰まった声で、そう耳元でささやかれる。
ただひたすら、彼女は頷いた。

指とは比べものにならない質量が、のナカに侵入してくる。
徐々に徐々に、腰を進める五ェ門の目には、眉間に皺を寄せて快感の波に耐えている、妖艶な表情のが映っていた。

全てが収まりきると、五ェ門は何も言わずピストンし始める。
急な律動に、の体が揺さぶられ、ひっきりなしに声が漏れた。


「あっ、ああっ! ふ、うんっ……ご、えもんっ……!」

「くっ……殿、力を、抜くでござる……っ」


水音、肉のぶつかる音、そして嬌声。それだけが部屋の中に響いていた。
次第に、互いにもうほとんど理性が残されていない事を悟ると、のナカが急激に収縮し始める。


「……中に、出すぞっ……」

「うあっ……、やあ、んぅ!」


最奥に突き立てた瞬間、五ェ門自身が脈打ち膨らんだ瞬間、熱い白濁液がのナカに注ぎ込まれた。
そのまま、ふたり肩で息をしていた。


殿……その、本当にすまなかった……」


入れたまま、の頬を撫で謝罪の言葉を口にする五ェ門。
彼女は、頬を行き来する手の平の感触を味わいながら、微笑んだ。


「ん……最初は怖かったけど、もう大丈夫」


その優しさに。愛情に。のナカの五ェ門がふたたびむくりと鎌首をもたげる。


「すまない、殿……今度は少しきつくしてもよいか?」

「ええっ?!」












手負いの、喰われる










かるきん様、リクエストありがとうございました!