体の芯から冷えるような日々が続く冬。
全ての温もりを逃がさぬよう、強く抱き締める。

まだ覚醒していない頭に、何かの音が届く。
寝ぼけたままよくよく聞いてみれば、それは子ども達が歌う讃美歌で。
心地のいいまどろみの中で、それをそっと聞いていた。

いつになく、温かいと思う。
昨夜も普段と変わりないベッドに入った筈なのに、いつもより温かさを感じる。
それがどうしてか知りたいのだけれども、まだ目を開けるには至らなくて。

腕の中の温もりが、もぞもぞと動く。
それに合わせて、聞き慣れた声が耳に届いた。


「ん……」


温もりの正体が、だとバージルは気がつく。

寝室は別々の筈なのに、どうして自分のベッドに彼女がいるのか。
目の覚めている彼ならその理由を問いただすだろうが、まだ眠りの世界から戻ってきていない彼は
ただ、その温もりを逃がさないよう、腕に力を込める。


「……ばー、じる」


彼女もまだ、眠いのだろう。
舌足らずな甘い声で、彼の名前を呼ぶ。
目を閉じたまま「……なんだ」と返事をした。


「外……雪降ってるんだよ」

「……そうか」

「あとね、メリー、クリスマス……」


それから、また穏やかな寝息が聞こえてくる。

まるで、彼女がプレゼントのようだ、とバージルは思った。
きっと彼女もそれを狙って、彼のベッドに忍び込んだのだろう。

たまには、遅く起きるのもいいかもしれない。
遠くから聞こえる讃美歌も、まるで子守唄のようで。
壊れ物を扱うように、の髪を梳く。










抱きしめていたのは神様の贈り物










Title by Fortune Fate「ふたりの聖夜に5題」