そのアイスブルーの瞳が、なにを見ているのか知りたくて
辿るようにその先を見れば、彼女がいた

眩しいくらいの金髪、透き通った青空みたいな瞳
溌剌とした笑顔は、誰をも惹き寄せる


ってば、なに考えてるの?」

「シェリー。なんでもないよ」

「そう?」


優しくて、誰からも好かれるシェリー
それは彼も例外じゃなかったみたいで

そもそも、私より先に彼らは出会っていて
聞けば、ジェイクの凍った心を溶かしたのは、紛れもなく彼女で
そこにつけ入る隙なんて、最初からなかったんだ


「ねえ、ジェイク」

「ああ?」

「シェリーの、どこが好き?」


ぶふぉっ! と飲んでいた物を勢いよく噴出した
げほげほと咽て「いきなりなんだよ!」と凄まれる
でも、ふざけていない私の真剣な顔に対して、バツが悪そうに顔を逸らした


「す、好きじゃねーし。シェリーは……」

「俺にとって大切な女?」

「ばっ!? だから、そうじゃねえって……」

「ふたりして何話してるの?」


お代わりの飲み物と、軽食を乗せたトレーを持ったシェリーがやって来た
「なんでもねえよ」とジェイクがトレーの上から、ジュースを掻っ攫う


「なんだかとジェイクって、お似合いね」


うふふ、と爆弾発言を残してまた行ってしまうシェリー
その言葉にふたりして固まる

チラリとジェイクを盗み見れば、傷ついた目をしていた
私も今、同じ目をしているんだろうな


「ねえジェイク」

「あんだよ」

「私達、付き合ってみる?」

「はっ、ありえねえだろ」


一笑。それでお終い
彼の中で私は、それだけの存在だって事









気づいてお願い気づかないで










title by 強がってばかりの私5題 (確かに恋だった)