、体調の方は・・どうだ?」

いつもと変わらず自身のデスクに向かうに声を掛けた。
すると彼女は振り向き、一度小さく笑みを溢して答えた。

「悪くないわ?」
「そうか。」

そう言って微笑む表情を僅かに歪めて続ける。

「ただ、良くもないけど。」
「・・・・。」





アンブレラから身を引き、ラクーンシティで手に入れたGウィルスを手土産に
ここH.C.Fへ移って数年が経つ。
運悪くバーキンの娘、シェリーが身に付けていたペンダントは手にする事ができなかったが
Gウィルスを宿したバーキンの肉片の回収に成功した。
それだけでも充分だ、そこからGを抽出すればいいだけの話なのだから。

俄かに成功したかのように見えた私の転身。
しかしまだ気を許してはいけない。
むしろ、ここからがスタートなのだ。
全ては私の野望の為に・・。

Gウィルスを持ち込んでからというもの、施設内では日々実験が繰り返されていた。
数人の優れた研究者を筆頭に研究は進められていく。
極秘裏に、そして確実に。

その日は朝からあまり良くない天候だった。
降り続く雨に多少打たれながら施設内へと進み行く。
そうしてセキュリティロックを解除して研究施設へと足を運ぶ。

「この間の実験のデータはどうだ?」

部屋の隅にあるモニターに釘付けになっているある人物の元を訪れそう尋ねると
その人物は振り返り、私を確認すると微笑み口を開いた。

「上々・・とまではいかないけれど、それなりに良い結果は出てるわ?」
「そうか。」

彼女の名は
この施設内で働く研究者の内の一人だ。
彼女の実績はといえば、然程目立ったものもなく、この施設内では中堅程度の扱いだった。
だが私は彼女の本当の実力を見抜いていた。
それは誰よりも具に観察し、決して諦めない事だった。
あらゆる可能性を試し、たとえそれが全て失敗に終わったとしても
新たな道を切り開こうとするそれは、他の誰より勝る彼女の実力だった。
そうした彼女に・・私はいつしか興味を持っていた。
彼女は私の事を信頼してくれている。
それは言わずとも日頃の行動で見て取る事が出来ていた。
だからこそ私も彼女を信じ、出来る限りの情報を与えてやった。

私の野望を果たす為には、彼女という存在が必要だった。

優秀な研究者が沢山いたところで、その内の一人が裏切るような事でもすれば
それは即ち破滅へと向かう。
ならば一人でも、確実に自分を信頼している研究者を傍に置く事が必要だった。
それが彼女、だったという訳だ。


再びモニターに視線を戻すが気が付いた様に言葉を発する。

「そういえば・・おはよう、ウェスカー?」
「ん・・?ああ、おはよう。」
「挨拶は先にするものだと思うんだけど?」
「それはお前にも言えた事だろう?」
「そうね、でも、先に話し掛けたのはウェスカーの方よ?」
「ああ、そうだったな?」
「ええ。」

そう言うと彼女は苦く笑って肩を竦めた。
そしてポケットからハンドタオルを取り出し私に差し出した。

「雨、降ってるの?濡れてるわ?」
「ああ、昨晩から降り続いているようだ。」
「そう。」

そのタオルを受け取り濡れた肩を拭う。
すると彼女は短く返事を返すと少しだけ呆れた様に笑みを溢し言った。

「ここに篭りきりだと・・外の天気さえも分からないわ。」




それから数時間が経った今も研究は続けられている。
私は自身の専用室に戻り無造作に広げられた書類に目を通す。
このところ何かと忙しい日々が続いており、机の上は酷い有様だった。

随分散らかしてしまったな・・。

そう思い適当に書類を整理していく。
そうしてふと気付いた事がある。
広げられた書類の束の中にメモのような紙片を見つけた。
それを手に取り読んでみると、それはからのメッセージだった。

『今度休みが取れたら食事でもどう?』

これは一体何時の内容なのだろうか?
一番上にあった書類の位置からこのメモの位置までを考えると
4〜5日前かと思われる。
このところの忙しさに感けてすっかり散乱しきった机の上を確認するが
これ以上のメッセージは残されていなかった。

私に対する信頼度が・・幾分下がってしまったか・・?

僅かに苦笑を浮かべ手にした紙片に視線を移す。

後で穴埋めでもしておくか・・。

その紙片を小さく二つに折りたたみジャケットの内ポケットへとしまい込んだ。



それからどれ位経っただろうか?
ふと時計に目を移してみれば20時を回っていた。
あれこれとデータを調べている内に随分と時間を費やしてしまっていたようだ。

私はモニターのスイッチをオフにして席を立つ。
そしてふとからのメッセージを思い出し小さく一つ笑みを溢した。

食事にでも・・誘うか。

彼女はこの所研究所に篭りきりだと言っていた。
たまには息抜きも必要だろう。
余りに根を詰めすぎてしまって良からぬ結果を出されては敵わない。
そう思い私は一度へ連絡を入れるべく受話器を取った。
そしての内線番号を押した時、妙な感覚に囚われた。

「・・・?」

ボタンを押しても反応が無いのだ。
おかしいと思いもう一度押す。
けれども反応は同じだった。

「・・壊れたか?」

何度か他のボタンを押して試してみるが、そもそも通信音すら聞こえていない。
一度受話器を置き配線を辿ってみる。
けれども抜けている訳ではないようだ、モジュラージャックはしっかりと刺さっている。
もう一度受話器を取り内線番号を押した時、不意に闇が訪れた。

「・・停電・・か?」

室内を照らしていた電灯は一気にその光を失い、代わりに非常灯が灯される。
一体何が起こっているのか分からなかった。
ただ、降り続いた雨によって何らかの支障が出たのだろうと思っていた。

仕方なく私はそのままの元へ向かうべく歩みを進めた。
ドアは電気制御によるものだったが非常事態にも備え手動で開けられるようになっている。
ただ、多少の手間は食うが・・。

非常灯の薄暗い中でドアの制御盤を操作する。
するとドアのロックが解除された。
そうしてドアを開けるべく手を掛けた時、想像すらしなかった事態が告げられた。


けたたましく鳴り響くサイレン。
それと共にアナウンスが流れてくる。

『緊急事態発生、従業員は直ちに避難を開始してください。』

そのアナウンスを聞いた時、何となく嫌な予感が過った。
それはこれまでの経験によるものなのか、それとも私の中の何かが訴えたのか・・
そのどちらかは分からなかったが・・。

私は直ぐさま部屋を飛び出ての元へ向かった。
その途中で何人もの研究者とすれ違った。
そのどれもが顔を青褪めさせ、表情はといえば怯え、戸惑っているものだった。

「おい、何があった・・?」

私はその内の一人を呼び止め声を掛けた。
するとその者は戸惑いつつ、震えた声で返してきた。

「実験体が・・暴れだした・・!」
「・・実験体・・?」

その言葉に眉を顰め言葉を返すと彼は続けて言った。

「Gの・・Gウィルスの実験体だ・・!手が・・付けられない・・!!」
「・・何だと・・?」

怯えきった表情でそう言うと私の手を振り払い一目散に駆け出した。
その間も流れてくるアナウンスに多少の変化が見られた。

『緊急事態発生、従業員は直ちに避難してください。
  ----B2実験施設は10分後に封鎖を開始します。』

最悪の状況だった。
B2実験施設はが常駐する研究所の直ぐ隣だ。
危険が及んでいる事は考えずとも想像ができる。

煩い位に鳴り響くサイレンの中、私は階下へ向かって走り出していた。
すれ違う全ての者に目を配り、その中にの姿を探した。
けれどもの姿は確認できない。
ともすればまだ・・。
走る足に力を籠める、人の流れを掻き分けその流れに逆流する。

その時の私を突き動かしていたのは・・
優秀な研究者としてのを求めていた訳ではない。
今にして思えば・・心の底から、彼女を失いたくはないという気持ちだったのだろう。
それは即ち、彼女に対する私の想いだ。
この数年間で、彼女に対して芽生えた気持ちだったのだろう。
無邪気に笑みを向ける彼女の姿が思い出される。
時にはひどく疲れた表情を見せていた。
そのどれもが私にとっては必要なものであり、失う事が恐ろしいとさえ思えた。

いつの間にか私にとって、という存在は必要不可欠な存在になっていたのだ。


目的の階層に辿り着き、一度足を止める。
嗅ぎ慣れた臭いが充満していた。


血の臭いだ。

視線を先に向けてみれば、所々に血痕が残されている。
その血痕の主が無事かどうかは分からなかった。
ただ、が無事であればそれで良かった。

ジャケットの内側に装備していた銃を取り出す。
それを斜に構えゆっくりと歩みを進めた。
B2実験施設は十数メートル先にある。
その手前にはがいる研究室だ。
逸る気持ちを押さえ辺りを警戒しつつ一歩一歩踏み出す。

静まり返ったこの場所はもう既に蛻の殻となっていた。
研究員達は避難したのだろう。
ここに残っているものは、命を落としてしまった者と逃げるだけの余力が無い者だけだと思われる。
が後者である事を切に願った。
せめて命さえ無事であれば、ここから助け出してやる事はできる。


研究室の手前に辿り着き、一度近くの壁に背を預ける。
その先にある実験室へと視線を向けてみれば、
先ほどとは比にならない位の夥しい血が飛び散っていた。
そして床には幾つかの身体が転がっている。
ピクリともしないその姿を見る限り、もう息は無いだろう。
一度大きく息を吸い込みそして吐き出す。
まさかこんな事になるとは数時間前の自分には想像すらしていなかった出来事だ。
ただ、自分が不在中の出来事でなくて良かったと思う。
そうであったら・・の救出など・・不可能だったからだ。

手にしていた銃をもう一度確認する。
久し振りに構えたそれは何となくしっくりとこなかった。
だがしかし、撃ち損じるような事があってはならない。
握り締めていたグリップを握り直し、一気に身体を研究室内へと向けた。

目の前に広がった光景は・・・悲惨なものだった。
研究の為に用意された機械は無残にも打ち壊され、そこここに死体が転がる。
少し前までは人間の姿だったであろうその身体は切り裂かれ
その者が誰なのかという判別すら付け難い状況のものもあった。

私は警戒を解かないまま室内へと踏み込んだ。
倒れている死体を一つずつ確認しその中にの姿がない事を祈りつつ歩みを進めて行った。

最後の死体を確認し終わった。
を見つける事はできなかった。
ともすればはどこへ・・?
そんな疑問が湧き上がり、隣の部屋とを隔てている壁へと視線を移した。

実験室・・か。

出来る事ならば私がここへ来る途中にすれ違った者達に紛れ逃げ延びていて欲しい。
私の見落としであって欲しい。
隣の部屋にいるような事が・・ない事を願っていた。

先程より少し足早に研究室のドアへと向かった。
するとその時、ガラスの割れる様な音がした。
一瞬身体を強張らせる。
その音が聞こえてきたのは隣の部屋からだ。
直ぐさま私は駆け出し研究室を飛び出た。
そして隣にある実験室へと続く廊下に視線を向けてみれば、
部屋の向かいにある壁を背にしてある一点を凝視するの姿があった。
その視線を辿る、すると現れたのは・・実験体だろうか・・?
その姿は既に人間の物ではなかった。

私は躊躇う事なく銃を構え叫んだ。

「伏せろ!!」

その声に反応してが振り向く間もなく床に伏せた。
それと同時に私は引き金を引いた。
劈くような音と共に発せられた銃弾が実験体の身体を打ち抜く。
一瞬その身体が揺らいだのを確認して再び声を上げた。

!走れ!!」

するとは見開いた目を私に向けた。
「何故ここに?」とでも言いたげなその表情に答えている時間はない。
今の一撃で奴がくたばるとはとても思えなかったからだ。

「とにかく走れ!今直ぐに!!」
「・・分かった・・!」

そう言ってよろめきつつも立ち上がるの隣で蠢く実験体の姿も目に入った。
もう一度銃を構えその身体に撃ち込む。
さっきよりも手応えは感じなかった。
その身体をよろめかせつつも倒れる事なくゆっくりと動き出す。
そうして次の瞬間、思いもかけない速さで移動を始めるとあっという間に私の前に立ちはだかっていた。

「ウェスカー!!」


の声が聞こえた。
けれどもそれと共に重い衝撃が身体に伝わった。
私の身体は跳ね飛ばされ、後方の床に叩き付けられる。
きっと奴の一撃を喰らったのだろう。
腹部に痛みを感じたが骨が折れている様子はない。
普通の人間ならば即死は免れても再び立ち上がる事は不可能だっただろう。

だが・・私は既に人間では・・ない。

その事を思うと幾分妙な気持ちにもなったが苦く笑みを溢して立ち上がる。
そうして私を見下ろす実験体に視線を向けて一つ呟いた。

「できそこないのお前に・・私を倒す事など、できる筈もない。」

今お見舞された一発を返しておきたいところだが時間がない。
ここへ辿り着いて既に5分は経過している。
残りは5分を切っている、遊んでいる余裕は無かった。

重い掌打を相手に喰らわす。
私のそれと同じ様に相手の身体が吹き飛ばされる。
けれども流石Gウィルスの実験体、そんな一撃でやられる事はなかった。
再び立ち上がり向かってくる実験体に弾丸を撃ち込む。
奴の身体を撃ち抜く事で確実に余力を削っていく。
そうして私の元へ辿り着いた頃には実験体は大きく呼吸を繰り返し
ただ私を見つめているだけだった。
その瞳に何を思うのかなど、考える必要はない。
私は突き出した銃を実験体の眉間に照準を合わせた。
そして「終わりだ」と小さく呟き引き金を引いた。

飛び散る血飛沫と共にその大きな身体が後ろへと崩れ落ちる。
それを確認した後に後方で蹲るへと視線を移した。

「・・無事か?」

一言そう低く尋ねるとは目に沢山の涙を浮かべて頷いていた。
そして僅かに両手を広げこっちへ来るようにと促す。
するとはゆっくりと立ち上がり、覚束ない足取りで私の元へと歩みを進めた。


あと少し・・手を伸ばせば届く位置だった。
何故、手を伸ばし、その身体を引き寄せてやらなかったのだろう?


大きな轟音と共に天井からそれは降ってきた。
私との距離は1メートル弱。
その僅かとも呼べる間に、分厚い壁が下ろされたのだ。

『B2実験施設、封鎖完了』

無慈悲なアナウンスが流れてくる。
漸く叶った願いを一気に打ち砕かれた様な気がした。

壁に駆け寄り手を当てる。
強化ガラスでできたそれは向こうにいるの姿を確実に見て取れる。
ただ立ち尽くし、何が起こったのか理解できていないような表情を浮かべていた。

「くそ!!」

思わず吐き出された言葉は焦りの色を隠せない。
それは、この後に訪れる状況を予測できたからだ。
封鎖した空間に残された者、それは実験体と仮定する。
それを死滅させる為に尽くせる手段といえば・・・。
毒ガスを充満させる他にない。

今はもう息絶えた実験体。
その手段は既に必要の無い事だった。

・・!待っていろ!直ぐに止めさせる!!」
「・・・・。」

強化ガラスの向こうに立ちすくむに向かい声を上げた。
そうして制御室にいる輩と連絡を取る手段を探そうとした。
けれども電気系統はとっくに遮断されている。
せめて非常電源が使えれば・・!
そう思い身体を翻した時、背後から声が掛かった。

「ウェスカー!」
「!?」

その声に振り向くと、ガラスに手を当てて私を見つめているがいた。


「・・無理よ・・きっと。」

その声はとても儚く消え入りそうな声だった。

「何とかなる・・いや、何とかする・・!」

実際、どうする事も私にはできなかった。
今更緊急事態回避の連絡を入れたところで、全ては一連の動作になっている。
封鎖作業が終わった今、それを止める事は不可能だった。
それはここで働く者の誰もが承知している事。
当然にもその情報は把握されている。

「ウェスカー、どうにもならないなら・・せめて最後だけは一緒にいて・・?」
「・・・・。」

ガラスに身を寄せて僅かに微笑む姿が痛ましかった。
数分後に訪れる最後の時を悟ったはガラスをそっと手でなぞった。

「ねぇ、ウェスカー?」
「・・何だ・・?」
「少し前に・・メモを残しておいたんだけど・・見てくれた?」
「・・・・。」

それを聞いて思い出した。
つい先程の事のような気がする。
散乱する書類の下から出てきたメモに僅かばかり焦っていた気もした。
を失望させてしまったのではないか・・と。
私は頷き返事を返した。

「ああ、遅くなったが・・今日、これから・・食事に誘おうと思っていた。」
「・・そう。」

それを聞くとひどく切なげな表情を見せる
だが直ぐ後に苦く笑みを溢して続けた。

「良かった・・嫌われてるのかと・・思ってた。」
「・・まさか。」
「だって・・あのメモ残したの、4日も前の事だもの・・。」
「・・そうだったのか。」
「全然返事もくれないから・・すっかり嫌われてるんだと思ってた。」

そう言って笑みを溢すは普段見る姿と変わりはない。
穏やかに笑い、そして言葉を紡ぐ。
この忌々しい壁さえなければ、今頃は談笑しながら遅くなった夕食を楽しんでいた所だ。
そして・・この気持ちに気付いた私はきっと、食事の後にでもに告げるだろう。

「・・・・愛している。」

ガラスの向こうのの頬を撫でるかの様に手を添えて私は呟いた。
するとは驚く事もなくただジッと私を見つめ微笑んだ。
そして小さく一言・・。

「私もよ・・ウェスカー。」


添えた手にが自らの手を重ねる。
この壁さえ無ければ伝わってくるであろう温もりは感じられない。
けれども少しでもその温もりを感じようと神経を集中させる。
そうして見つめ合い、どちらからともなくそっと口付けた。






「体調が悪いなら少し休めばいい。」

彼女の身体を心配しそう声を掛けるがは首を横に振った。

「んーん、平気、あと少しだから。」
「・・無理はするな。」
「うん、ありがとう。」

そう言うと再びモニターに視線を移す。


あの後は息絶えた。
噴出された毒ガスを徐々に吸い込み、
ひどく苦しい筈なのにそれを見せる事なく微笑みながらその場に崩れ落ちた。
どうする事もできずにただジッとその姿を見つめる私に何一つ文句を言う事なく・・。

失う事の怖さを初めて知った。
私には、が必要なのだと思い知らされた。

ならば私に出来る事はただ一つ。
彼女を再び蘇らせる方法だけ。

禁忌を犯す事ならば、既に何度もしてきた。
今更恐れる必要など・・なかった。


ある施術をに施す。
死者を蘇らせると言えばそれはまるで宗教染みている。
しかし確実にその方法はあった。
ただ、元のままの人間として生き返らせる程の技術はない。

私と同じ道を歩む事になる。

は許してくれるだろうか?
目を覚ました時、悲しみに打ちひしがれるのではないだろうか?
それとも怒って私の元を飛び出してしまうのではないだろうか?

その後の事は・・どうでも良かった。
ただ、彼女が生きてさえいてくれれば・・私はそれで構わない。


モニターに噛り付く彼女に向かって声を掛けた。


・・?」
「なぁに?」
「・・私を・・恨んではいないのか?」


するとは振り向き、きょとんとした様な表情を向けた。

「・・どうして?」

そして尋ねるに苦く笑みを溢して私は言った。

「いや、何でもない、気にするな。」
「・・変なウェスカー。」

彼女に伝えた事実は全て私の作り話だ。
あの後奇跡的に助かったと伝えた。
ただ、時折体調を崩す事がある。
それは彼女に施した施術の所為だったが、それも身体に残った毒の所為だと伝えた。




EGOISM
結局のところ、彼女を失う事は私には耐え難い苦痛なのだ




未だにきょとんとした表情を向けるに笑みを向け私は言った。

「それが片付いたら・・食事にでも行くか?」
「え!?本当に!?」
「ああ、だから早めに片付けてくれ。」
「オッケ!頑張るね!?」
「ああ。」

そうして意気込んで再びモニターに向かうを見つめ
私は笑みを溢していた。




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A candy popの明星さんに捧げるバラード・・ではなくて隊長夢!!
悲恋ぽく且つハッピーエンド・・になってなぁいっ!!
まず、謝らなければならないのが設定について・・。
実験体の暴走とかそれを止める手段とか・・。
あり得ない・・と自分でも思ってしまいました・・ごめんなさい。
そしてガラス越しのチュー。(チューて・・)
これはもうずっと書きたかったシチュエーションの一つだったのですが
結構他サイト様とかでもあったりして控えてたんです・・が!!
もうね・・隊長となら何でも行けそうな気がしたんです!自分は!!
なので抑えていた衝動を解き放ってしまいました・・!
ごめんなさい・・明星さん・・!!
そして何より隊長がらしくないという事を本気でお詫びしたいです。
詫びても詫びきれないような気がしますが・・。
とにもかくにも隊長に対する愛並みに明星さんへの愛を示したつもりです。
どうぞ受け止めてやってください!!(受け流しもアリです・・)

相互リンク本当にありがとうございました!
これからもどうぞ宜しくお願いします!





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『777』のぴよさんに頂きました、相互リンク記念のウェスカーです