以前は孤高でいて、それでいて無敵な存在だと思っていた
けれど今は、どこか優しい雰囲気すら持っていて
これも自分の影響なのだろうかと思うと、不謹慎かもしれないけど、少し嬉しい

裏切られても好きで。待っていたら迎えに来てくれた人
迎えに来てくれた時にはもう、人間ではなかったけど。そんな事私には関係なかった

人は、守るべき存在がいると、強くなると言うけれど
最強のライオンは、守る為に弱くなる

その強過ぎる牙で大切なものを傷つけない為に、少しだけその牙を衰えさせる

ウェスカーが今、何をしようとしているのか。そんな事、ちっとも分からないけれど
確かに感じるのは、私は彼を愛していて。彼も私を愛していてくれている事
それだけで、私は立っていられる

私のせいで貴方が弱くなるのなら、私はその責任としてずっと傍にいる
そう言ったら余計なお世話だと言いながら、肩を抱いてくれた

昔の仲間に未練がないかと言われれば、戸惑ってしまう
だけど、もう二度と失いたくないと思ってしまった。あんな痛み、もう絶対に感じたくない
そう思うのはきっと我侭なのだけれど

この世にいつか終焉が来ても、その時貴方が隣にいてくれるのなら
私は終焉さえも、喜んで受け入れられるの





以前の自分はこんなにも依存なんぞしていなかったし、ましてや敵う者などいないと信じていた
しかし、今となってはそんな自分は、欠片も存在していない
彼女もそんな私に気づいているのか、時々嬉しそうに私を眺めている

裏切ったのに忘れられなくて。迎えに行ったら予想外に私を待っていた人
迎えに行った時は既に、人間ではなかった自分。それでも彼女は喜んで歓迎した

人間は守るものがあればこそ、強くなると言うが
強くなり過ぎた自分は、弱くなってしまった

己の手で、彼女を傷つけない為に。どうしても手に入れた力を制御してしまう

自分のしている事はきっとまた、彼女を傷つけるかもしれない
何も知らない彼女はそんな私を無心に愛する、だからこそ、私も彼女を愛してしまう
支え、支えられつつ。また彼女を欲している

私のせいで貴方が弱くなるのなら、私はその責任としてずっと傍にいる
そう言われて私は皮肉を返しつつも、彼女の肩を抱いていた

きっと、昔の生活に彼女はまだ未練を残しているだろう
それでも、私は彼女のもう二度と手放さない。逃げ出そうとしても、雁字搦めにしてしまうだろう
それは私のエゴであり、唯一人間らしいところで

この世の終焉が訪れても、彼女に傷一つつけさせやしない
弱くなるのも強くなるのも全ては彼女の為なのだから




















リライト「君で変わっていく10のお題」